スティーブスで購入した71KGコンバチは屋根のない駐車場で保管していたため、あっという間に錆びだらけになってしまい、リフトで車体を持ち上げることもままならなくなってしまったのが確か1990年頃です。お世話になったNさんから「エンジン・足回りなんてどうにだってなる。でもボディーは完璧に戻すことはできない。」とよく言われていました。とうぜん自分もしゃきっとしたのが欲しくなってきていました。ただ71とはいえKGでしかもコンバチ。次の車両のハードルは低くありません。
そんな時、個人売買情報だけで数十ページあったスクランブルカ―マガジン(今のカーマガジン・ネコパブリッシング)で西谷リミテッドと言う聞きなれないショップが68年のビートルのコンバチを90万くらいで売っているのを見つけました。値段的にも買えそうで、しかもコンバチ(駐車場、屋根無いのに・・・)68だから顔つきは新しいけれど、まあコンバチということで現車をNさんと見に行くことにしました。
西谷リミテッド、町田藤沢道路(と言う名前でよいのでしょうか)の確か湘南台と大和の中間あたりにあったと記憶しています。住所の場所まで行くと以前までヤマザキデイリーストアがあった場所のようです。とても飛び込みの客が入るような店ではありませんでしたし、何しろ外から中にある車が見えるようになっていませんでした。おそるおそる入ってみると、社長のnさんが「コンバチは別の場所にあります。さっそく見に行きましょう」と言われて見に行きました。現車はどノマール、オリジナルペイント。今なら価値があるのでしょうが、リペイント済みのきれいな車両を期待していた私にはマイナスポイントでした・・・・。
ヤマザキデイリーストアだった店に戻り、どうしようか話をしていると、nさんが「実は奥に57のビートルがあるんですけど見ます?」と言ってきました。見るとオーバル、しかもラグトップ。内装はつまらない黒だけれど新品。外装もピカピカではないけれど自分的には十分きれいでした。値段を聞くと198万円・・・・・。とても払えない・・・。「少し考えさせてください」と言い残し店を後にして、帰り道Nさんに聞きました。
私「どう思う?」
N「どうって何が?」
私「オーバルは198だから不可能なんだけど、68コンバチ、あまり華があるようには見えなかったけれどベース車としていい買い物かなぁ?」
N「おれビートルのコンバチって好きじゃないんだよね。前から見るとウインドシールドの上の角が角刈りみたいで、演歌歌手みたいじゃん」
私「ビートルのコンバチ好きじゃないんだ。でも車両としては悪くないよね」
N「KGの代わりに買うのならオーバルでしょう。さびも全然ないし」
私「でも198なんて払えないよ・・・・」
と言うような会話をしたのを覚えています。
結局、nさんが自分の71KGを120万で買う人を見つけてくれたので、追い金78万ということで購入することになりました。
nさんはどうやら米国西海岸から車を個人で輸入して、売ることを生業にしているようでした。ただショウルームらしいショウルームもなく、広告もカーマガジンの個人売買欄です。売っている車は自分が買った比較的地味なオーバルだったり、58年のクリーム色の極上の356もありました。その車両は売約済みで買主はなんと俳優の唐沢寿明さんとのことでした。キャルルックなどとは無縁の大人の空冷を売る店でした。
ショウルームもない西谷リミテッドだったのでたまに顔を出しに行く、と言った付き合い方もできず、そのまま疎遠になった気がします。
付き合いは疎遠になってしまいましたが、雑誌等で自分で輸入したキューベルワーゲンであちこちのショウに参加しているのは見ました。多くのショップがキャルルック中心の品ぞろえだっったのに対し、西谷リミテッドはその対極にあったのかもしれません。nさん今はどこで何をされているのかなぁ。
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